大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和26(あ)4531 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人田倉整の上告趣意第一点及び第二点について、

第一審証人Aの証言中には所論のような伝聞、即ち被告人が警察吏員たる同証人

に対してした本件犯罪事実の自供が含まれているが、その際における同証人の取調

が所論のような理由から憲法三八条一項に違反し、従つて被告人の右自供には証拠

能力がないというようなことは控訴趣意において何ら主張されておらず、原判決も

この点につき何ら判断を示していない。従つて、論旨第一点の違憲論及び同第二点

の判例違反の主張はいづれもその対象を欠くものであつて、適法な上告理由にあた

らない(なお、警察職員が被疑者を取り調べるにあたつて、あらかじめいわゆる黙

秘権または供述拒否権のあることを告知しなかつたからといつて、憲法三八条一項

に違反するものでないこと及び右告知のなかつた一事を以つて右取調に基く被疑者

の供述が任意性を欠くものと速断することのできないことは当裁判所の判例の趣旨

に徴し極めて明かである。昭和二三年(れ)第一〇一号同年七月一四日大法廷判決

及び昭和二五年(れ)第一〇八二号同年一一月二一日第三小法廷判決参照)。

同第三点について、

論旨引用の札幌高等裁判所函館支部の判決は証人の証言中の伝聞部分が被告人以

外の者の供述である場合に関するものであり(刑訴三二四条二項参照)、本件にお

ける所論伝聞はそれが被告人の供述である場合である(同条一項参照)。従つて、

右引用の判決は本件事案に適切でない(なお引用の判例は、伝聞部分が刑訴三二一

条一項三号にあたらないことを前提としたものである)。しかも、本件において、

原判決は伝聞たる被告人の供述について刑訴三二六条の同意がなくても、悉くこれ

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を証拠とすることができるというような判断は何ら判示していないのである(伝聞

たる被告人の供述は、それが刑訴三二二の要件を充たさない以上、右の同意がなけ

ればこれを証拠とすることができないと共に、同意がなくても、同条の要件が充た

されている以上これを証拠とすることができることはいうまでもない)。従つて、

論旨は到底採用することができない。

なお、記録を調べても、本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められ

ないから、刑訴四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判

決する。

昭和二八年五月一日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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